Masami Tokuda

督田昌巳への7つの質問

Q. 物づくりを仕事にしようと思ったきっかけは何ですか。

A.  他に何も出来ませんので生きてる間はそれが生業です。

 

Q. 素材として木を選んだのはどうしてですか。

A. 選んだ記憶がないので木が僕を選んでくれたのなら幸せです。

 

Q. 以前は家具を中心に作られていましたが、器を作ろうと思ったのはどうしてですか。

A. 図面や決まり事から離れてもっと直感的に作りたかったから。器を始めてからは作る家具類も直感的なものになってきた気がします、最近は絵だけで図面をひかなくなりました。

 

Q. 音を大事に思われているようですが、音や音楽は督田さんにとってどういうものですか。

A. 自然でも人の世界の事でも現象は視覚的に捉えるよりも音として感じて聴きます。姿形も 見る のではなく 聴こえます。何かを作るときには現したい音、聴きたい音が聴こえてくる物を作ろうとします。イメージを絵にすることもありますが留めておきたいのは音です。視覚的に捉えると具体的でわかりやすく伝えやいのですがそれは範囲を決めていろんなものを省略、無視しているので感覚は限定的になりそこからの再生はもっと限定的なものになります。音も光も波動で、全ての物質を構成している単位の素粒子も常に振動しているようです。波動や振動は持続音を伴っているはずだから全ては聴くことができるということになります。言葉で表現するとなんだか面倒臭い複雑なことになりますが、素粒子振動とか光と音の波動とか質問に答えるために今調べただけでいつも何も考えていません。ずっと手を動かしていればそのうち手が勝手に作るものを考えてくれます。

 

Q. 物づくりを通して伝えたいこと、やりたいことは何ですか。

A. 明確な意志はありません。湧き出る水のように見えてるもの、持たされた感覚を形にしているだけです。湧いた水は流れるところに流れて河や泉になったり、ただの一滴になったりして、そこでだれかに何か新しい感覚や意志を持たせることはある

 

Q. 仕事をする上で大変なこと、また幸せに感じることはなんですか

A. 大変なことは納期に間に合わせること。幸せなのは良い波が上がればいつでも海にいける自由はあるという事。だから納期が守れない。

 

Q. 督田さんが考える「豊かな生活」とはどのようなものですか。

A. 物の量や速さ広さで実現できるものではなく、役に立たないと思われるような小さな物やなんでもない事に深く豊かに感じる心を持って過ごす日々。

 

写真  督田さんのアトリエにて 2018年6月撮影